米国のマーケティングは「口コミ・PR」重視

ベンチャー企業の話題には事欠かない米国ですが、大手企業はデジタルにどう対処しているのか。そんな疑問と共に、流行の発信地であるニューヨークに訪れました。2回にわたって、アメリカで感じたことを伝えます。

アメリカは日本以上に口コミが大事

流行の発信地と言われるニューヨークは、マンハッタンを中心に様々なアパレル企業が旗艦店を連ねます。他にも金融機関が集まるウォールストリート、演劇の聖地ブロードウェイなど、全米最大の都市であり、まさに商業の中心地です。

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5番街のユニクロ(筆者撮影)

そんなニューヨークのもうひとつ大きな特徴は、「人種のるつぼ」であること。多民族国家であるアメリカの中でも特にニューヨークは様々な民族が様々な言語で生活しています。彼らは交じり合うことがないので「人種のサラダボウル」とも言われているそうです。

テレビのスイッチを入れてみると、終わりがないかと思うほどのチャンネル数!ケーブルテレビの普及率が高い米国は、世帯あたり平均104もチャンネルがあるそうです。一方、日本の地方は数チャンネルしかない状況です。

実際ニューヨークに行ってみて、こんなに言語も文化も異なると、お互いが分かり合うのはすごく難しいだろうと肌で感じました。暗黙の了解なんて、ほとんどないんです。言わなきゃわからないのです。

だからこそ口コミが重視されるのではないかと考えています。古くはAmwayのようなネットワークビジネス、新しくはSNSなどによるバイラルマーケティングが発達したのはそういった背景があるのではないでしょうか。

例えばニューヨーク5番街に軒を連ねるブランドショップに入ると、入り口には「撮影OK、SNSへの投稿歓迎!」といった内容のステッカーが貼ってあります。日本では店内撮影不可といったお店がまだありますが、むしろ米国では推奨しているのです。

米国発ブランドのKate Spade New Yorkでお土産を探す時に、テレビ電話してもよいかと聞くと店員さんは大歓迎。画面の向こう、日本にいる妻にまで接客してくれました。

PRも重要なプロモーション

私はコロンビア大学のカンファレンスに参加したのですが、そこでKIND Snacksという食品会社のCEOが登壇していました。会場には山盛りの商品サンプル!参加者は数の制限なく持ち帰ることができました。

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JETROでコーディネーターを務める食・健康分野のコンサルタントである太田氏は、「米国では展示会が非常に重要。良いものであれば受け入れる商習慣があり、フェアでオープンだと感じる。」と語っています。

一方、信頼のおけるメディアによるPRも重要な施策となっているそうです。

定食屋を展開する大戸屋は、ニューヨークミッドタウンに高級天ぷら店「天婦羅 まつ井」をオープンしました。すぐに大人気店となり、1年で早々にミシュランの星を獲得したそうです。味やサービス、内装など素晴らしいお店だったことが前提だと思いますが、その人気の一因はメディアとの接し方にあったそうです。

それは、New York Timesなど一部のメディアに限って情報を提供したということ。新聞社にとっては独占取材となるわけですが、記事を書いてもらい、大きく扱ってもらうことで話題を喚起したことが、その後の人気へとつながっていったとのことでした。

New York Times|At Tempura Matsui in Murray Hill, the Pleasures Lie

太田氏いわく、「米国においては、PR会社の使い方が非常に重視されている。日系企業の中には、PR費用を予算として確保していないところもあるが、それは米国とは大きな違いだ。PR会社は業界ごとに強みを持っており、PR会社を活用することで業務の面でも効率的にプロモーションをすることができる。」と話してくれました。

今回はデジタルに限らず米国にあるマーケティングの背景について紹介しました。次回は、ブランディングの特徴について考えると共に、米国企業がデジタルを活用してどのような施策を行っているかについても見ていきたいと思います。