テレビ広告が「プログラマティック化」するのはいつか?

米テレビ広告のプログラマティック化

近年アメリカでは、テレビ広告が急速に「プログラマティック化」(=運用型広告化)しています。

米調査会社のeMaketerによれば、2015年はテレビ広告費におけるプログラマティック広告は3.1億ドル、テレビ広告費全体の0.5%を占める程度でしたが、年平均100%~200%の成長を続け、2018年には44.3億ドル、テレビ広告費全体の6.0%を占めるまでに拡大すると予測されています。

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(出典|eMaketer

米広告代理店への調査でも、流行りのDMPやアトリビューション分析・DSPに続き、8割が「プログラマティックTV」に興味を持っているとのこと。

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(出典|eMaketer

さらに、米調査会社ニールセンも、オンラインの動画広告とテレビ広告の垣根はなくなると予想。

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(出典|Nielsen

番組や時間帯・視聴率を頼りに視聴者層を想像し、相応しい広告を出稿している現在から、インターネット広告と同様に特定の視聴者層を狙ってアプローチ(CMを放映)する時代がすぐそこまで迫っているのでは、と感じます。

 

日本のテレビ広告のプログラマティック化はいつか

では日本でも同じように拡大するのか、識者の見解はどうでしょう。

デジタルマーケティングラボを運営する広瀬信輔氏は、

著者の個人的見解は、「TV×プログラマティック広告配信の時代は、日本には当分来ない」です。

ただ、現在のTVCM枠がプログラマティックになることはないかもしませんが、スマートテレビが普及すれば、ユーザーがTVという1つのスクリーンにおいて、TV番組以外を視聴することは増えるはずです。そこにプログラマティックの機会があるかもしれません。そこは少しだけ期待をしたいと思います。

と述べています。米国と日本ではインターネット接続テレビの普及率や視聴習慣、チャンネル数の少なさ(=広告枠の少なさ)などを理由に挙げています。

(出典|Web担当者フォーラム

 

また、デジタルインテリジェンス代表取締役・横山隆治氏は、以下のように述べています。

テレビにプログラマティックバイイングを導入することでは、新たな需要を獲得するテレビ局も、より効率的なバイイングができる既存大型広告主とテレビが使えるようになるミドルエンド広告主も、新たなブランドと出会える消費者も、3者とも「得する」ことになると思われる。

(中略)

今までの売り方にこだわるか、プログラマティックバイイングも取り込むか……。結論はそう難しくはないようには思う。結論は難しくないが、導入にはハードルがある。

それはテクノロジーの問題ではない。テクノロジーは既にあり、何年も前からチャレンジされている。要は、ここに成長の鍵があると思う業界や、実質的な効果効率を求める広告主の心理の問題だ。そしておそらくそれを解決するのは、以前はテクノロジーがあっても、欠落していたデータであろう。新たな(実質的な効果を判定できる)視聴データが仕組みを変えるだろう。

(出典|テレビのプログラマティックバイイングは日本でも有効か
(参考|テレビ広告のバイイングの未来

 

それでも、急速にプログラマティック化する可能性がある

上記二人の意見は「いずれはテレビ広告もプログラマティック化するものの、米国ほど急速ではない。」というのが要旨だと思います。しかし、個人的にはサイバーエージェントの「AbemaTV」の勢いに「日本のテレビ広告にも急速なプログラマティック化の波が来るのでは」という可能性を感じました。

AbemaTVは、上記記事の公開後の2016年4月に本開局してからわずか半年で1,000万ダウンロードを達成しており、飛ぶ鳥を落とす勢いで成長中です。

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(出典|TechCrunch

Googleの「Chromecast」やAmazon「FireTV」といったストリーミングデバイスにより、既存のテレビをスマートテレビ化することが容易になりました。今後、「AmebaTV」のような人気のある動画コンテンツがインターネットで多数提供され、さらにはテレビで視聴できるようになると、既存のテレビコンテンツからユーザーがより一層離れてしまうのではないでしょうか。

その結果、テレビ局の広告収入が落ち、危機感を感じたテレビ局が広告主の確保のために広告枠のプログラマティック化を受け入れ、大小幅広い広告主からの出稿を募るのではないか…というのが、個人的に想像したストーリーです。

現在のインターネット広告市場は、広告主・媒体社双方の「効果の良い広告を出稿したい/効率的に広告枠を売り切りたい」というニーズから発展してきたと理解しています。

現在のテレビ広告は「需要>供給」のため、テレビ局が進んで改革をしない現状ですが、改革をせざるを得ない(=広告枠が余り、効率的に売り切らなければならない)状況になるかどうかが、プログラマティック化のスピードに影響するのではないでしょうか。