デジタル化が創り出す「少額×多数」のビジネスモデル

デジタル化が起こしたイノベーションのひとつに、お金の取扱いにおいて、いままで企業など”一定の規模の組織”にしかできなかったことが、”個人”でもできるようになった、ということがあります。

どういうこと?

たとえば、

クラウドファンディング

これは、Crowd(群衆)からFunding(資金調達)するという意味の造語です。

いままで、何かのプロジェクトや不動産に出資を募るにあたって、多数の人から少額ずつ集めるのは現実的ではありませんでした。呼びかけるコスト、集金するコスト、リターンを配付するコスト。これらは金額ではなく対象者数に比例するため、多数を相手にするのは割に合いません。
よって、”投資”を行うのは、機関投資家やヘッジファンドなどのプロの独壇場でした。

それが、インターネット上にプラットフォームが構築され、集金コストが劇的に下がったことで、一気に環境が変化。募集の趣旨に共感した人たちから、ひとりひとりは少額でも数多く集めることができれば、個人でも大きな原資を作ることが可能になりました。

またこれは、投資をしてリターンを得る機会を個人レベルに広げると同時に、遍在する遊休資金を経済に還元する効果もあります。いまでは、数多くのクラウドファンディングサービスが運営されていることは、周知のとおりです。

たとえば、

海外送金サービス

一般に、海外に送金するにはかなりの手数料(数千円)がかかりますが、ここにTransferWiseというFinTechスタートアップが登場しました。

彼らは、安い手数料での海外送金を実現してくれるのですが、その仕組みは、グローバル企業がグループ内財務処理として行っている「ネッティング(相殺処理)」を個人間で実現させるものです。

・Aさんは、日本から米国に15万円送金したい。同じくはBさんは5万円を。
・逆に、Cさんは米国から日本に8万円(相当のドル)を送りたい。
・同じくDさんは7万円(相当のドル)を。

としたときに、これらをマッチングして、Aさん・Bさんが送金申込みした15万円を、Cさん・Dさんの口座に日本国内で振り替えます。米国内でも同様に、Cさん・Dさんが送金申込みした15万円を、Aさん・Bさんの口座に振り替えます。

これで、実際にはお金は国境を越えませんでしたが、各ユーザには海外に送金したように見えるという仕組みです。

もちろん、TransferWise社が営業許可を受けている国同士でしか送金はできません。また、各国間で送金バランスがあまりに偏ると相殺しきれないという構造上の課題があります(TransferWise内で部分的に通常の海外送金を行い調整しているものと思います)。ですが、この新サービスがもたらずメリットは、永らく続いた既存の送金ビジネスを壊すに十分でしょう。

TransferWise

上記のクラウドファンディングや海外送金サービス以外にも、たとえば、マイクロファイナンスと呼ばれるような少額融資、少額保険等のサービスも出てきていますが、これらは次回で。