顔認証のいま – 表情さえもデジタルデータ化

映像データからの検索能力は格段に向上

顔認証の技術は、どんどん進化しています。
スマートフォンで写真を撮る際には、人の顔を認識してピントを合わせることができますし、撮影した写真から特徴の似た人を選び出して自動的にタグ付けすることも、もはや当たり前のことになってきています。
もう少し複雑なケースでは、ブラックリスト対象者や行方不明者の顔写真データを読み込ませておくことで、その人物が、どの監視カメラの映像にいつ映っていたかを遡って即座に検索することも可能に。また、遊園地やイベントあるいはビルの入館などでの「顔パス」システムも、判定の精度とスピードの両面で、もはや実用段階にあるのはご存じのとおりです。

さらにいまでは、特定の人物ありきではなく、ある場所に頻繁に出没する人、ある地点とある地点の両方に出現した人、ある特定の人物と頻繁に一緒にいる人、そういった人物を抽出することも、膨大な録画データから人物を推定・識別するソフトウェア技術の発達により可能になっているそうです。これは、犯罪・事件の予防に活用できますね。

治安維持という点では、挙動不審な人、同じところをずっと徘徊している人、うずくまったり倒れている人などを、動きの特徴に基づいて自動検知するというのは、もう一般の商業ビルやマンションなどでも導入できるレベルにきています。
また赤い車、黄色い服といった特徴を指定することで、過去の録画映像から該当する場面を素早く抽出する技術も実用化されてきているようです。

顔の表情を認識してマーケティングにも活用

上記は、どちらかというと「監視カメラ」的な利用方法を取り上げましたが、マーケティングへの利用も始まっています。
店舗内に設置したカメラを使って、来店者の性別や年齢を自動的に判別し、来店数、混雑状況、動線、滞在時間などを可視化しマーケティングに活かす実例は、すでに出てきています。

ある事例では、ランドセル店で来店客の分析を行ったところ、50-60代の人物(要するに、じぃじ、ばぁば)を含む集団が最終的に購買につながる傾向が数値上でもはっきり出たとのことで、店舗内の顧客アプローチ手法に一層明確な方向性を見いだせたとのこと。

これに加えて、カメラで捉えた表情(感情)までもデジタルデータ化し、蓄積・分析を可能にする技術も実用段階にあります。
今年の「リテールテック(小売業向けIT見本市)」では、実際にサービスとして提供している会社もブース出展していました。

たしかに、店舗内でポジティブな表情が多くみられる場所、困惑した表情がみられがちな場所などを数値データ化できれば、店舗レイアウト改善に向けて定量的なフィードバックが可能になりますね。また、一度捉えた人物を次回来店時にリピーターとして識別することも可能となる一方で、顔は画像データとしてではなく特徴値のデータとして持つことから、プライバシー上の問題はないとのことでした。
ここでは、店舗だけでなくコールセンター内への導入事例も紹介されていました。難しい顧客への応対に苦慮しながらもスーパーバイザーへの合図に躊躇しているような担当者を、表情で察知してすぐヘルプに向かえるようになったことで、コール対応力も向上し、担当者の精神的負荷軽減に役立ったとのことです。

個人判別のための「形」としての顔認識に加えて、口ほどにモノを言う「表情」までもデータ化できるとなると、得られる情報量や示唆は、格段に上がりますね。また、接客がAI化・ロボット化していくにあたり、顧客反応を見極める重要な手段としても、顔認識技術の活用シーンはますます拡大していくものと思います。