デジタルビジネスのプラットフォーム事例 – タクシー業界

プラットフォームというビジネスモデル

デジタル化したビジネス環境の中での勝ち筋のひとつが、自らが「プラットフォーム」となること。

さまざまなニーズと商品・サービスを結びつける市場を創り出すことで、ビジネス上の価値を生み出すとともに、自らが中心となって取引データを蓄積・分析することで、より市場が活性化させるよう影響力を発揮していくモデルです。

シンプルなモデルとしては、デジタルな卸業という位置づけで以前から存在しています。宿泊施設を探す人と宿泊施設、あるいは飲食店を探す人と飲食店とをつないで予約と支払を仲介するようなサービス。企業間では、工業用部品の検索と受発注のサービスなどが具体例として挙げられます。

参考|じゃらん
参考|食べログ
参考|ミスミ

情報がデジタル化され、モバイル端末が普及したデジタル化社会においては、このプラットフォームがつなぎ合わせる「ニーズ・商品・サービス」が、より複合化してきています。

例えば、すでに語りつくされた感のある「Uber」では、タクシーを探す人と、空いた時間と車の活用で収入を得たい人(あるいはタクシーそのもの)とを結びつけるところから、食事や日用品の配達にまでカバー範囲を拡大しています。これにより、単にヒトと配車のマッチングにとどまらず、地域のヒト・モノの動きを総合的に把握・蓄積することで、さらなる新規ビジネス立上に活かすという循環を目指しているものと思います。

「日本交通」の事例

日本のタクシー業界では、「日本交通」がプラットフォーマーとして生まれ変わるべく業界横断的なサービスを展開し始めています。具体的には、子会社のJapan Taxi社を通じ、配車・広告・決済、さらには総合的なデータ活用について、以下のようなサービスを提供しています。

  • 配車:「全国タクシー」という名のスマホアプリを提供。アプリ上の地図に自分の位置が表示され、配車を申し込むと近くを走るタクシーが呼べるというサービスで、同様のものは国内でも数社が提供しています。これを、Googleマップと連動して地図検索から直接配車できるようにしたり、iPhoneのSiriから呼べるようにしたりと機能強化。そして、プラットフォームの本質である「量」の確保に向けては、日本交通だけではなく全国のタクシー会社と提携することでカバー範囲を広げており、これによって利用者も増加中とのこと。なお、タクシー運転手には「乗務員アプリ」を配布。流しで手を挙げてきた客、これまでの自社の無線配車連絡に加えて、アプリからは「全国タクシー」経由での呼び出しも受けられることになるわけです。
  • 広告:タクシーに乗ると、広告動画を流すタブレット端末ほどの画面が設置されていることがあります。ここで流す動画を、走行エリア、時間帯、曜日、性別(カメラで識別とのこと)などをもとに広告を出しわけることで、より汎用的な広告媒体のプラットフォームとして確立し、活用していこうというもの。
  • 決済:事前にクレジットカード情報等の決済手段を登録しておくことで、降車時に現金を出したり、カード決済のサインをする手間が省けるといったサービスです。また、支払履歴が残るため、領収書もあとから発行できます。

需要者と供給者に、プラットフォームとして上記のようなビジネス価値を提供することに加えて、取引情報に基づくマーケティング施策の立案や、車両搭載センサーの情報、渋滞情報、天候情報、列車運休情報といった情報を組み合わせて分析することによる配車コントロールなど、プラットフォームの総合力拡大に向けた取組みも視野に入れているとのこと。

デジタルビジネスにおけるプラットフォーム戦略において、面白い事例が生まれそうです。引き続き注目してみましょう。

参考|Japan Taxi ウェブサイト
参考|日経デジタルマーケティング(2017/5)