アマゾン ホールフーズ買収による複数のメリットとは

ホールフーズを実質無料で手に入れた

先日アマゾンが高級スーパーのホールフーズ・マーケットを買収するという報道があり、各ビジネス誌および業界は大騒ぎになりました。Amazon EchoAmazno GOなど、常にイノベーティブな商品・サービスを展開するアマゾンが、またしても攻めの一手を打ちました。

電子商取引大手の米アマゾン・ドット・コムは自然食品スーパーマーケットチェーンを運営する米ホールフーズ・マーケットを、債務も含め137億ドル(約1兆5200億円)で買収する。アマゾンにとっては過去最大規模の買収となる。全米で数百店舗を抱えるホールフーズの買収で、アマゾンはスーパーマーケット実店舗展開を一気に加速させる。

引用:アマゾン、ホールフーズを137億ドルで買収-食品販売に本格参入|Bloomberg

ブランド力があり、収益性が高く、464もの店舗を保有するとはいえ、1兆5,200億円とは高額だと思いましたが、なんと実質無料だそうです。シナジー効果が見込めるからこそできる、こんなカラクリがあるそうです。

実質無料の買収劇――。買収総額は137億ドル(約1兆5000億円)だが、アマゾンの株価は一時3%あまり上昇。時価総額は170億ドル増え、企業価値からみれば無料でホールフーズを手に入れたことになる。

引用:「買い物上手」のアマゾン |日本経済新聞社

買収のメリット①|物流センターとしての機能

さて、そのシナジー効果ですが、まず明確には「物流・倉庫、顧客接点としての店舗利用」が挙げられます。“一等地にある冷蔵庫付きの物流センターを手に入れた” という見解が多数あります。

ホールフーズの店舗は、(スーパーなので)当たり前ですが、顧客が買い物に来れる便利な場所にあります。そして、実際に行ったことがある方はわかると思いますが、非常に巨大な店舗が多く、生鮮食品を扱うための設備とオペレーションが既にあるわけです。

引用:Amazonのホールフーズ買収の狙いは464箇所もの一等地にある冷蔵庫付き「物流センター」|決算書が読めるようになるノート

最後の物流拠点から各自宅への配送を指す「ラストワンマイル」が最も配送コストが高いと言われます。特に米国は、日本と比べて住宅密集度が低く配送効率が悪いため、より巨大な配送コストがかかっていると予想され、「ラストワンマイル」を制すことは非常に重要です。その解決策として、リアル店舗を手に入れたということでしょう。

買収のメリット②|プライベートブランドの獲得

物流センターとしての買収だけでなく、ホールフーズ・マーケットが持つプライベートブランドを手に入れることも買収の目的だ、という意見があります。

今回の買収で、同社は食品のプライベートブランドの強化も可能になる。この分野は、アメリカをはじめ、他の成熟したマーケットにおいて成長を続けていると、バーンスタインは語った。ホールフーズのプライベートブランド「365 Everyday Value」はすでに人気を集めており、アマゾンによるさらなる拡大が見込まれる。

引用:アマゾンの高級スーパー買収「手にする価値は440店舗だけではない」|BUSINESS INSIDER

ホールフーズ・マーケットはもともと自然食品を強みとしたスーパーであり、その商品をAmazonで取り扱うだけでも価値があります。

また、Amazon GOの実証および導入が自前で店舗を構築するよりも容易になり、顧客にとっての利便性向上だけでなく、決済サービスのシェアを高めることもメリットとして挙げられます。

アマゾンはこれまで、”Amazon Go”としてレジが不要(無人レジ)のコンビニエンスストアのようなモデルを模索していたと思いますが、実際のスーパーを手にすることで、その実現についてより具体的な実証をすることができる環境を手に入れることになります。アマゾンにアカウントを持つことで、決済のストレスが低減されていきます。

引用:アマゾンがホールフーズを買収した2つの理由|投信1

買収のメリット③|競合の排除

そして最後に、この買収は自社のサービス強化というだけでなく、競合を早い段階で潰すための取り組みであることを述べたいと思います。facebookなどの純粋なネット企業では、買収による競合回避が常套手段となっていますね。実際に過去アマゾンに自社サイトWootを売却したマット・ラトリッジ氏が、過去のベゾス氏のコメントを紹介しています。

ベゾス氏は地中海のタコにポテト、ベーコン、グリーンガーリックヨーグルト、ポーチドエッグを添えた外国の料理を注文した。ラトリッジ氏がベゾス氏になぜWootの買収を決めたのかを問うと、「長い気まずい沈黙」の後に、ベゾス氏は口を開いた。

「君は私が食べようとしているタコだ」とベゾス氏は言った。「私がメニューを見たとき、それは私にとって理解できないもので、持っていないものだった。だから私は朝ごはんにタコを食べなければならないというわけだ」

引用:アマゾンCEOの「知られざる」買収戦略。過去に買われた企業トップが証言|BUSINESS INSIDER

これだけアマゾンにはホールフーズ・マーケットを買収する理由があったんですね。強い企業が、益々力をつけていくこのスピード感は、現代だからこそと感じます。