企業価値2兆円WeWorkの特徴と、ユニークなコワーキングスペースの登場

「サンフランシスコの賃料は高いし、よい仲間との出会いを求めているからコワーキングスペースに人が集まります。」

1Rの家賃が月30万円もするシリコンバレーでは、大手IT企業で働いていてもシェアハウスをする人は多いそうです。また、起業家たちは大抵複数のスタートアップを兼務していて、そのうちの一つが軌道に乗ればフルコミットするスタイル。よって常にネットワーキングを求めています。

シリコンバレーで、Co-working、Co-Living スペースを運営するFounders Baseの竹内氏はそう話してくれました。仕事のスペースだけでなく、寝食も合わせて共にする、Co-Livingというスタイルもシリコンバレー特有です。日本のシェアハウスは同居のみの印象ですが、一つの起業家コミュニティとして生活も共にしています。

WeWorkの企業価値は2兆円

コワーキングスペースといえば、世界で一番成功しているWeWorkが有名です。ソフトバンクが出資を決めたことで、企業価値は2兆円に跳ね上がりました。

もともとコワーキングスペースは、大きな物件を借りて、それを企業や個人にまた貸しをするシェアリングエコノミーの一つ。不動産の所有すらしていないWeWorkが、また貸しだけでこれほどまでの評価をされたわけではありません。WeWorkには様々な特徴があります。

  1.  ブランド:デザイン性が高く、心地よい空間というイメージ
  2. カルチャー:同じ環境で働く人々は大切な仲間という位置づけ
  3. テクノロジー:3次元モデリングを活用した精確かつ効率的な設計
  4. コミュニティ:コミュニティマネージャーを配置、リアル版SNSに注力
  5. サービス:医療保険やクラウドサービスの割引利用などの提供
  6. 横展開:大手法人向けサービスに加え、WeLive(共同住宅)やジムの併設
通うこと自体に喜びを感じさせることやインスタ映えを意識したデザイン

特にテクノロジーとコミュニティについては、他のコワーキングスペースが簡単に真似できないほど優位性があります。3次元BIM(Building Information Modeling:デジタル上で建設の設計、施工管理、維持管理まで実施)に強いCaseという企業を買収。元Caseの従業員が率いるフィジカルプロダクトチームにより、デザイン性の高いオフィスを短時間で仕上げます。

大規模フェス並みのサマーキャンプまで開催し仲間との繋がりを重視

また、コミュニティの重要性を初期から認識し、そのためのSNS(WeWork Commons)を提供しています。それだけでなく、最近ではコミュニティプラットフォームであるMeetupを買収し、オフラインでのコミュニティ構築を強化しています。

そしてPowered by Weという大企業向けのビジネスをはじめており、IBM、Airbnb、Amazonなどの企業に対して、オフィスの選定、設計、コミュニティを含めた管理・運営などのサービスを提供しています。エンタープライズ会員(1,000人以上の企業の法人会員)は、25%~30%になっています。

もはや、空間のまた貸しという枠を遥かに超えるオフィスサービス企業なのです。

ユニークなコワーキングスペースの登場

WeWorkの勢いはとどまるところを知りませんが、一方でユニークなコワーキングスペースが増えています。

  • SHEworks(南青山)
    女性限定。子育て支援サービスまで提供するコワーキングスペース。

  • CREATIVE SPORTS LAB(横浜)
    横浜DeNAベイスターズが運営。スポーツテクノロジーを中心としたスタートアップ支援プログラムも実施。

  • Think Lab(飯田橋)
    集中することに特化した環境を提供。JINSが運営。

  • Full Node(ベルリン)
    欧州最大のブロックチェーンハブ都市を目指す。ブロックチェーンスタートアップの本社も入居。

  • Blueprint + Co(ニューヨーク)
    資金調達総額もしくは年間売上が25万ドル以上の企業のみ対象。高級コワーキングスペース。

Full NodeやSHEworks、そしてCREATIVE SPORTS LABのように、特定のコミュニティをはじめからターゲットにしたコワーキングスペースもあれば、Brlueprint+CoやThink Labのようにサービスに特化したものもあります。

日本においてもこれまではシェアオフィスや貸会議室などはありましたが、WeWorkのように空間を貸すこと以上のサービスを提供することに加え、コミュニティやサービスなど特定のニーズに特化したコワーキングスペースが増えていくでしょう。

また、グローバルブレインとOmiseが立ち上げるブロックチェーン特化ファンドのように、コワーキングを運営することでスタートアップの成長を加速させようという動きもあります。

ユニークな関連ビジネスも

コワーキングスペースだけでなく、ユニークな関連ビジネスもでてきています。日本経済新聞社は、OFFICE PASSというサービスを実施しています。月額9,800円で複数のコワーキングスペースが利用できるということで、その価格自体も安いですが、移動の多い利用者には便利なサービスになっています*。

*β版として提供していましたが、現在β版のサービス停止中

また、ウェブ会議システムを手掛けるブイキューブは、電話BOX型のオフィスをリース販売しています。

働き方改革によりテレワークや遠隔オフィスのニーズが高まる一方で、大手日系企業はセキュリティ上の理由から、なかなかコワーキングスペースの利用に踏み切れません。また家庭では集中して作業ができないという問題に対して、大きなマンションの入り口やスーパーマーケットの中などに設置できる小型のオフィスを提案しています。

人の寿命が100年に近づき、定年が徐々になくなり、パラレルワークが当たり前になります。またこれまでの「同じ時間に同じオフィスで同じ人と働く」だけでは、変化についていけず新しいアイデアも得にくくなっていくでしょう。これからの働き方に対して、コワーキングスペースはサービスを充実させ、人々にとってなくてはならない存在となっていきます。

まだまだ日本では数が少なく使いにくい面もありますが、これから様々なニーズに応えたコワーキングスペースが広がっていくでしょう。

<参考>