インスタは『リア充発信SNS』よりも『ビジュアル版Wikipedia』的な存在?

※当記事は、スカイライトコンサルティング株式会社のグループ会社株式会社シンクエージェントが2018年1月に公開した「インサイト」より転載しています。

ググるよりもインスタ検索

前回のインサイトではインスタグラムと雑誌の役割の違いについて考えを書かせていただきましたが、今回はインスタグラムの使われ方の変化について感じていることを書きたいと思います。

最近、知人から「グランドセイコーの時計を買うか悩んでいる」という話をされて、「どんな時計なの?」と聞いたところ、まず見せてくれたのがブランド公式サイトの商品詳細ページで、以下のようなシンプルなページでした。

出典:グランドセイコー公式サイト

さらに、「これだけだとよくわからないからインスタも見たほうがいいよ」と言われて、品番をコピーしインスタで検索したら全部で173件の投稿が出てきました。画像の種類は様々で、着用したときのサイズ感光が当たったときに輝き方文字盤の彫刻の美しさ、また、どんな人が使用しているのかがわかりました。どうやら海外からの投稿が多いようでした。ググるよりインスタ検索なんですね。確かにGoogleで画像検索するよりも精度が高い。

時計好きなこの知人からすると、こういった画像があると実物をイメージしやすく、欲しい気持ちが強くなるそうです。グランドセイコーの公式サイトでは直接購入ができないので、事前にスペックや価格などの情報を調べて、店舗で実物を見てから購入するという流れが普通だと思いますが、「実店舗で見たい」というモチベーションを高めるのに、インスタグラムがとても良く活用されているなと感じました。この場合、インスタグラムは、作品としての展示物が実際に動いたときにどうなるかをイメージする為の補助ツールなのだなと思いました。

企業アカウントからの投稿もあるのですが、一般人がいろいろなシーンや場所で使用しているリアルな投稿の数が多いほうが、より情報価値が高まるのだと思います。それに、商品数が多いブランドはすべての商品にこれだけの撮影負荷をかけられないので、商品単位での投稿が増えると、ECで伝えきれない情報の補完ができますよね。「#グランドセイコー」で投稿されて4万件の中に埋もれるよりも、「#SBGR305」で投稿されて検討中の人にちゃんと届くほうが、購入に繋がるのではないかと思います。認知獲得を目的にハッシュタグ投稿キャンペーンをするよりも、こういった鮮度の高い視覚的情報を伝えるほうが、インスタの性格的に向いているような気がします。

キャラの立った個人が小さくメディア化する

インスタが他のSNSと違うのは、ユーザーに「私の投稿は私のフォロワーに届く」だけではなく、「誰かに検索されるかもしれない」という意識が多少なりともあることだと思います。フォロー、フォロワーの関係を超えて情報が拡散されていくので、個人的にはWikipediaの画像版に近いように感じています。

逆に言うと、日常のちょっとした面白いシーン、食べたもの、行った場所などの、身近な人にだけ見てもらえればいいものはストーリー機能を使い、「この映画を観てどんな感想だったのか」であったり、「この化粧品の発色はどんな感じか」のような人に教えたくなるレビュー要素の入ったものはフィードに投稿して残すという使い分けをするユーザーが増えてきているような気がします。投稿することで、自分の記録にもなりますからね。

例えば、筆者のフォローしている友人で、堅あげポテトが好きな人がいて、たまに堅あげポテトの新作?変わり味?の投稿をしてくれるのですが、それで「こんな味も出てるんだ~」という情報を得ることがあります。レビューまでなくても、筆者が堅あげについての情報を得るのはメディアではなくてこの友人のインスタです。次にお会いするときは堅あげのおすすめを聞きたいと思っています。

また、化粧品関係の仕事をしている友人は、実際に使用している化粧品の投稿をしてくれていて、業界の人が使っているならいいものなんだろうなという勝手なイメージをもってしまいます。実際に店頭で迷ったときは、その友人の投稿がふと思い浮かびます。

同じように映画が好きな人、読書が好きな人、アクセサリーが好きな人、ラーメンが好きな人など、身近なフォロワーでキャラが立ってくると、その人達が筆者にとってのメディアになっているように思います。ラーメンを食べたいと思ったら「前に○○さんが投稿してた店に行ってみよう」と思ったりと行動のきっかけになることもあります。

広告ではなく商品の隠れた魅力とファンを知るためのツールに

2017年の流行語に「インスタ映え」が年間大賞になりましたが、インスタグラマーの投稿へのいいね!数が減ってきているという記事も目にします。トレンドに敏感な若年層は、ちょっと皮肉っぽく「インスタ映え」や「フォトジェニック」などの言葉が取り上げられるとそういったものから距離を置きたくなるようになるのではないでしょうか。
今後、インスタ映えを狙っておしゃれな写真を投稿するだけでは、いいね!はもらえなくなり、差別化を狙って、ストーリーで面白く日常のシーンを切り取ることと、あるジャンルをシリーズ化して記録のように発信することがユーザーの傾向として見られようになるのではないかと考えています。あくまで仮説ですが。

そうなったとき、企業でのインスタグラムの活用方法は、小売業であればファンの投稿から自社商品の魅力を再認識したり、自社ファンのライフスタイルを見て広告のタッチポイントを見直したりといった方法が考えられるます。また、観光地や商業施設では、ストーリーで動画投稿されることを意識した時間限定のイベントをやったり、1ヵ所だけではなく、複数に関連するフォトスポットを用意して撮影に連動性を持たせるなどフォトジェニックだけではない時系列な要素も盛り込む必要があるのではないでしょうか。
ユーザー数が伸び続けているインスタグラム。今後もユーザーの変化に目が離せません。


オムニチャネル推進チーム
アソシエイト・コンサルタント

福島 江里奈
バックナンバー